SPACE SHOWER

SPACE SHOWER YEAR DIGEST 2023

TOP INTERVIEW

「ライブ」のエンタテインメントを軸に
ソリューション事業にも注力。
さらなる成長に向けて挑戦を続ける

株式会社スペースシャワーネットワーク代表取締役社長 林 吉人

当社グループは地球環境等に配慮し、今回から紙面による株主通信の発行をとりやめ、Web株主通信に移行いたしました。今後は、より多くの皆様に向けて広く情報を発信してまいります。

Q1.2023年3月期(当期)の業績の評価についてお聞かせください。

ライブ・コンテンツ事業の回復が大きく寄与し黒字転換

当期の連結業績につきましては、売上高は153億8千1百万円(前期比10.9%増)、経常利益は5億6千3百万円の利益(前期比2.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3億4千8百万円(前期比39.3%減)となりました。
3年前、新型コロナウイルス感染症の拡大が始まった2021年3月期は4億5千3百万円の営業赤字となりましたが、2022年3月期はほぼプラスマイナスゼロ、そして当期はプラス1億5千3百万円と営業黒字に転換し、コロナ禍以前の水準まで完全回復したとは言えないまでも、業績は着実に回復基調にあると考えています。

(単位:百万円)

売上高

営業利益

大きく寄与したのが、コロナ禍でダメージを受けたライブ・コンテンツ事業の正常化です。
前半はまだコロナ禍の影響を受けたものの、その後は集客制限の緩和などによりライブイベント関連は正常化へ大きく転換しました。
また、エンタテインメントカフェ「あっとほぉーむカフェ」においても、コロナ期間中にオープンした新店舗の影響もあり、2022年度はコロナ禍以前をはるかに上回る来店者数を記録することができました。

今後の成長に向けて、先行投資や新たな取り組みを実施した「準備の1年」

当社グループは2022年5月に、2022年度(2023年3月期)から2024年度(2025年3月期)までの3ヵ年経営計画「Daylight 2024」を策定しました。
計画1年目の当期については、コロナの影響もあり当初想定した営業利益予想を下回る結果となりましたが、新たなジャンルでの大型イベントの開催やディストリビューション事業の運営体制強化といった、2024年3月期以降の成長に向けた先行投資や取り組みをしっかりと行うことができ、手応えを感じています。

Q2.今後の成長に向けた事業戦略をお聞かせください。

エンタテインメントの本質は「リアルのライブ」。
当社が得意とするライブイベントをより強化したい

2022年8月に、当社のフラッグシップ的な夏の野外音楽フェスティバル「SWEET LOVE SHOWER 2022」を3年ぶりに有観客で開催しました。
厳しい感染対策を実施し、観客数にも上限を設けての開催でしたが、3日間で合計約6万人を動員するとともに盛況を博し、コロナ禍からの復活を果たすことができました。

また、新たな取り組みとして、2022年5月にヒップホップをテーマにした国内最大規模のフェスティバル「POP YOURS」を有観客で開催しました。
こちらはまだ感染拡大が続いているさなかでの開催だっただけに、当社にとっては大きな挑戦でしたが、2日間で約1.6万人を動員し、お客様からも高い評価を得ることができました。
本イベントを開催するに当たって心掛けたのが、「お客様に『もう1回来たい』と思っていただける体験を提供すること」でした。
こうしたフェスティバルは基本的に年1回開催で、終演後は翌年の開催まで何もないというのが一般的ですが、「POP YOURS」では、年間を通じ、関連コンテンツをYou Tube上で継続配信するなど、お客様のロイヤリティやエンゲージメントを高める取り組みを地道に続けてきました。

その結果、今年5月27・28日に開催した2回目となる「POP YOURS」では、3万枚のチケットをソールドアウトすることができ、出演いただいたアーティスト、そしてお客様にも大変満足していただくことができました。
コロナ禍の2022年にリスクと向き合いながら始めた新ジャンルのフェスティバルでしたが、1年後の今年、確かな成長の果実を実らせてくれたことは大きな喜びでしたし、将来のさらなる発展につながるフェスティバルに成長させていけそうな手応えを感じています。

当社は元々こうしたリアルな、フィジカルなコンテンツを得意としてきました。
フェスティバルの動員数を見ると、コロナ禍を経た今だからこそリアルのライブが見直され、その価値が一層高まっていると感じます。
エンタテインメントの本質は、やはり「リアルのライブ」です。今後は我々の本業であるライブエンタテインメントをさらに強化していきたいと考えています。

コロナ禍でもカフェ来店者数は過去最高を記録。
リアルとバーチャルでさらなる集客を図る

エンタテインメントカフェ事業については、国内10店舗目、大阪エリアでは3店舗目となる「あっとほぉーむカフェ大阪本店3F」を新たにオープンしました。
ここ数年はコロナ禍にありながらも、非常にロイヤリティの高いお客様に数多く「ご帰宅」いただいています。
より楽しんでいただけるよう、サービスの改善や顧客満足度の向上などに取り組んだ結果、2022年度はコロナ禍以前の水準をはるかに上回り、過去最高となる年間65万人もの総来店者数を記録しました。

店舗数および来店者数の推移

リアル店舗の拡大とともに現在進めているのが、仮想空間上であっとほぉーむカフェの世界を楽しめるアプリ「バーチャルあっとほぉーむカフェ」の開発です。
ベータ版はすでに提供していますが、近々その正式版を公開予定です。
リアル店舗への来店が難しい方はもちろん、国を越えての利用も見込めますので、今後はリアルとバーチャルの2軸で展開し、事業のさらなる拡大を図ります。

FUGA社との連携を強化しソリューション事業の収益化を目指す

今、日本の音楽業界では、少子高齢化などを背景に国内市場が縮小する中で、いかに海外市場を開拓していくかが大きな課題となっています。
そうした中、当社は2021年2月に、世界主要都市に拠点を置いてグローバルディストリビューション事業を展開しているオランダのFUGA社との合弁会社を設立し、日本のアーティストの楽曲を国内のみならず世界中のリスナーに配信する支援を行っています。

デジタル化の加速によって、近年は楽曲を自作し配信までを個人で行う、いわゆる「DIYアーティスト」が成功を収める例が少なくありません。
こうした才能あるアーティストやクリエイターに対して、音楽配信やデジタルマーケティングサポートといった多様なソリューションを提供していくことによって、大きなビジネスチャンスが生まれると考えています。

現在は音楽配信の運営体制を強化すべく人員補強など先行投資を行っているため、短期的には減益となっていますが、FUGAチームとの連携を通して海外展開の成功事例を積み重ね、2024年3月期以降は着実にビジネスとして形にしていきたいと考えています。
世界的な成功を収めるアーティストを日本から生み出していく。
そのサポートを行うことは、我々の喜びであるだけでなく、日本の音楽業界全体の活性化にもつながると確信しています。

苦境の中でまいた「挑戦の種」を大きく育て、さらなる飛躍を目指す

我々エンタテインメント業界にとって、コロナ禍の3年間は長く苦しい試練の時でしたが、2023年3月期は、そんな長いトンネルからの出口がようやく見えた1年となりました。
「高く飛ぶ前には、低く屈め」と言います。当社もまさに低く屈んだ3年でしたから、ここからは、「高く飛ぶ」時です。
当社は、この3年間低く身を屈めながらも、いくつかの「挑戦の種」をまきました。その種を、これからしっかりと育て、大きく花開かせてまいりますので、ぜひとも当社の事業を応援いただけますと幸いです。
なお、当2023年3月期の配当金は、前期同様に1株当たり10円としました。
2024年3月期についても、安定配当の方針に基づき10円を計画しています。
株主の皆様におかれましては、引き続き変わらぬご支援、ご指導をいただきたく、お願い申し上げます。

代表取締役社長 林 吉人

FINANCIAL SUMMARY

2023年3月期

  • 売上高

    15,381百万円

    前年同期比110.9%

  • 営業利益

    153百万円

    前年同期比黒字転換

  • 親会社株主に帰属する当期純利益

    348百万円

    前年同期比60.7%

業績推移

(単位:百万円)

  • 売上高

  • 営業利益

  • 親会社株主に帰属する当期純利益

TOPICS

「SWEET LOVE SHOWER」を3年ぶりに開催

3日間で約6万人を動員

2022年8月26日(金)、27日(土)、28日(日)の3日間、当社の夏の野外音楽フェスティバル「SWEET LOVE SHOWER」を、世界文化遺産・富士山と山中湖畔を望む自然豊かな山梨県山中湖交流プラザきららにて開催いたしました。
自治体のガイドラインに従い会場と協議した上で設定した収容人数での開催でしたが、可能な限り密を避けたエリア作り、公式アプリでの本人情報登録など感染対策を実施の上、3年ぶりに有観客での開催を果たしました。

国内最大規模のヒップホップフェスティバル
「POP YOURS」開催

「2020年代のポップカルチャーとしてのヒップホップ」をテーマにした
国内最大規模のヒップホップフェスティバル

2022年5月21日(土)、22日(日)の2日間、千葉県・幕張メッセ国際展示場9~11ホールで「POP YOURS」を開催いたしました。
感染防止対策のため、全席指定・マスク常時着用・歓声禁止等、普段のヒップホップライブシーンでは慣れない環境におけるパフォーマンスとなりましたが、2日間で合計37組ものヒップホップアーティストが出演し、観客動員数は約1.6万人となり盛況のうちに幕を閉じました。
またYouTubeでの生配信も行い、合計で26万人、視聴回数は78万回を達成し関心の高さを証明するものとなりました。

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